【書籍紹介】小説

「夜のピクニック」の紹介

夜のピクニックの紹介画像

引用:新潮社(http://www.shinchosha.co.jp/book/123417/)

夜にピクニック、ただひたすら夜歩くという青春の中の経験

大人になってから学生自体の事を懐かしく思い出すということは多いです。
ふとした瞬間、またその学生自体と同じ空気を感じたり、同じ場所に行くことで、あの時こうだったな・・・と感じたり、切なく思ったりするのですが、そんな学生自体のある経験を切り取った小説、それが、夜のピクニックです。
>>恩田陸 『夜のピクニック』 | 新潮社

主人公が通っている高校、その高校の最後を飾るのが歩行祭と呼ばれる夜のピクニックです。
全校生徒が夜を徹し、80キロもの道のりを制覇するという「北高の伝統行事」が主人公の視点で描かれています。

甲田貴子という高校3年生の主人公は歩行祭に特別な思いを秘めて挑んでいます。
誰にも言えずにいた秘密を、この高校最後の行事で清算しようと、心に秘めて歩行祭が始まります。

学校生活がもうすぐ終わる高校3年生、ここまで経験したこと、思い出、卒業後の進路、夢などを語りながら歩きます。
しかし貴子は親友たちと歩きつつ、小さい賭けをしています。

この本は本屋大賞を受賞し、ふと高校生活、青春を思い出させてくれる永遠の青春小説と評されています。

ただ歩く、でもその描写と主人公の心の中が見事に描かれている

恩田陸さんの書いた夜のピクニックという小説は、何か大事が起る事もなく、ミステリーやホラー的な物語でもなく、本当にただ高校生が学校最後の一大イベントで80キロを歩くということが描かれています。
歩いている間、親友と共に語らい、でもふと一人で考え、否定したり肯定したりしながら、夜のピクニックが続きます。

この小説が面白いのは、著者が様々な伏線をちょこちょこ出してくれるということです。
貴子がしている小さい賭け、その賭けに勝ったらすることは何か?榊杏奈がラブレターを出した相手は誰なのか?おまじないとは何か?古川悦子が犯人捜し?高見光一郎が開催するパーティーってどんなパーティー?こうした数々の伏線が物語に引き込ませます。

くたくたになって歩く、でもどうしてこんなに惹かれるのか?

この小説はただただ高校生が最後のイベントに挑む、歩くということをただ行っているという物語です。
夜のピクニックの中にも、「ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう」という一説が出てきます。

確かに、歩くことが継続される物語でどうしてこんなにも引き込まれてしまうのか、不思議に感じるのですが、これはきっと、高校の時にこの主人公たちと同じ歩行祭ということを経験していなくても、伏線を知りたどっていくうちに、自分が高校生だった頃、こういう気持になったなということを思い出すからかもしれません。
高校生が歩くことで物語も進んでいて、その中の台詞や書かれている気持ちの描写に引き込まれ、同調し読むことを辞められなくなるのだと実感します。