【書籍紹介】小説

「星に願いを、そして手を。」の紹介

星に願いを、そして手を。

引用:集英社(http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-771037-3&mode=1)

史上最年少で小説すばる新人賞を獲得した青春小説「星に願いを、そして手を。」

史上最年少大賞受賞作となった「星に願いを、そして手を。」は高校2年生という若き小説家が描いた青春小説です。
この本を読んだほとんどの方がきっと、これ本当に高校2年生が描いた作品なのか?とびっくりされるほど魅力ある作品となっています。

宇宙研究を目指す高校生佑人は結局文系大学を妥当に卒業し、現在地元の公務員戸なっています。
結局、夢を見ていた将来とは全く違う人生を歩んでいる佑人には、同じ志を持っていた元彼女の理奈という存在がいます。

彼女は大学院で宇宙研究を行っていて、佑人が挫折した夢を追っています。
二人の幼馴染でもある春樹は実家である家電店を継ぎ、薫は4人で集まっていた図書館に併設されているプラネタリウムを手伝っています。

高校を卒業してからほとんど顔を合わせる事がなかった4人は、プラネタリウムの館長さんが急に亡くなったことでお通夜に参加し再開します。
館長が残した謎を紐解くうちに、みんなが失いかけていた「何か」を一緒に取り戻していくという物語です。

見事な感性と小気味いい言葉のチョイス、夢を追っていた時になくした何かを追いかける主人公たちは、読み手の心をつかみ、また著者の心の中の繊細さに感動します。

学生時代、社会人時代、変わっていったことが自分の経験と重なる

この本を読んだ多くの方がきっと、そういうことってあるよな、大人になるとこうなるんだよ・・と共感できる文章がそこかしこに出てきます。
無くしたものが何か、それをたどっていく心の中の葛藤や、大人になったんだからこうじゃないと・・という葛藤が入交り、切ない気持ちになります。

大人になると超えていくべき壁と、よけていくことが必要になる壁があり、またそこでどう選択するかによって、大人になる自分がどうなっていくか決まっていく、心の中でわかっているけれど捨てなければならないことが大人になるにつれて多くなり、それを次第に忘れ、夢を追いかけなくなっていく、誰でも共感できる気持ではないかと思います。

必死に何かを探すその主人公たちのひたむきさが心地いい

夢を追っていた頃からなくしてしまった何かを求める主人公たちのひたむきさが、こんなにも甘酸っぱい青春小説になるとは、著者が高校生という事を考えると、本当にその実力に驚きます。

一つ一つの表現が心にすっと入ってきて、何か大切なものを思い起こさせてくれるのです。
学生の頃の楽しい思い出ばかりではなく、色々な事を諦め捨てなければならない大人の感情もうまく表現され、この描写を高校生が書いたのかと思うと、本当に心から尊敬してしまうほど、魅力ある作品です。